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6月, 2022の投稿を表示しています

彫刻刀が刻む戦後日本(町田市立国際版画美術館) Post-War Japan as Inscribed by the Printmaker's Knife (Machida City Museum of Graphic Arts)

  戦後版画運動と教育版画運動という、戦後の2つの民衆版画運動を紹介した展覧会。 版画という芸術が、民衆運動を結びつくということがとても興味深い。版画は1つの版木からたくさんの作品を作ることができ、多くの人に届けることができるので、それが民衆運動にとっては都合が良かったのだろう。 戦争で子供や孫を亡くしたドイツのケーテ・コルヴィッツの版画が中国に渡り、魯迅らがそこから中国独自の版画運動を展開した。 その運動が広く日本でも紹介されて、それが日本の民衆運動にも取り入れてられていった。 とてもローカルな運動のように思える戦後版画運動が、そうした国際的な背景を持っていた。 後半の教育版画運動の展示では、会場に全国の子供たちが共同で制作した巨大な版画作品が展示されていた。 自分たちが暮らす村や町を描いたものや、地域に伝わる伝説などを描いたものもあった。 作品がとても大きいということもあったが、子供たちが一緒になって、おそらくはわいわい言いながら掘り上げっていったそのダイレクトな表現にとにかく圧倒された。 An exhibition that introduces two postwar popular print movements, the postwar print movement and the educational print movement. It is very interesting that the art of printmaking connects the popular movement. Prints can make many works from one woodblock and can be delivered to many people, which may have been convenient for the popular movement. The prints of Käthe Kollwitz of Germany, who lost their children and grandchildren in the war, went to China, and Lu Xun and others developed their own print movement from there. The movement wa

東京の猫たち(目黒区美術館) Cats of Tokyo (Meguro Museum of Art, Tokyo)

  東京の区立美術館の連携事業として開催された展覧会。それぞれの美術館から、猫にまつわる選りすぐりの作品が集結して、展示されていた。 朝倉文夫、藤田嗣治、熊谷守一、などの名前はすぐに思い浮かぶ。 他にも葛飾北斎、川端龍子、麻生三郎、駒井哲郎、山川菊二などの猫を描いた作品が展示されていた。 猫という動物は、犬と違って人間にはあまり馴染まないが、可愛い仕草を見せたり、野生的な側面を見せてくれたりする。 アーティストたちの描く猫の姿は様々で、それぞれの技法やタッチなどと相まって、色々な猫の姿を楽しむことができた。 東京というこの大都会には、色々な猫たちが暮らしているんだな。 撮影ができたのは稲垣知雄の版画作品だけ。元は抽象的な表現をしていたが、猫という存在に出会ってからは、ずっとその姿を描き続けていたという。 An exhibition held as a collaborative project of the Tokyo Ward Museum of Art. From each museum, selected works related to cats were gathered and exhibited. Names such as Fumio Asakura, Tsuguharu Fujita, and Morikazu Kumagai come to mind immediately. Other works depicting cats such as Hokusai Katsushika, Ryuko Kawabata, Saburo Aso, Tetsuro Komai, and Kikuji Yamakawa were exhibited. Unlike dogs, cats are not very familiar to humans, but they show cute gestures and show wild aspects. The appearances of cats drawn by the artists are various, and I was able to enjoy various appearances of cats in combination with each technique and touch.

琉球(東京国立博物館) Ryukyu (Tokyo National Museum)

  沖縄が日本に復帰した50周年を記念した、大規模な展覧会。国宝を含む数多くの貴重な品々が大幅な展示替えを伴って展示された。 先史時代の考古学的な資料から、琉球王朝成立に至るまでの過程、琉球王朝時代の入り鮮やかな紅型や珊瑚をあしらった美しい王冠、普通の人々の暮らしや宗教にまつわる展示など、幅広い角度からの展示が行われていた。 琉球王国は、中世から近世にかけて東アジアの地域との交易をベースにして成立した。 近世以降、島津藩に実施的に占領されると、清と江戸幕府の間で厳しい外交関係を生き抜かなかければならなかった。 第2次世界大戦では、アメリカと日本の戦争の最前線として、兵士では一般の人々が数多く命を落としてしまった。 現在も、世界や東アジアを取り巻く軍事的な状況はますます厳しくなり、その皺寄せは沖縄の人々を苦しめている。 かつての海洋国家だった琉球の繁栄を象徴する万国津梁の鐘に刻まれた銘文を読みながら、再びその場所がかつての繁栄を取り戻す日が来ることを、心から願う思いに包まれた。 A large-scale exhibition commemorating the 50th anniversary of Okinawa's return to Japan. Many valuable items, including national treasures, were exhibited with major changes. From a wide range of angles, from prehistoric archaeological materials to the process leading up to the establishment of the Ryukyu dynasty, the beautiful bingata of the Ryukyu dynasty and the beautiful crown with coral, and exhibits related to the lives and religions of ordinary people. The exhibition was being held. The Ryukyu Kingdom was established from the Middle Ages

アールデコの貴重書(東京都庭園美術館) Encounters with Alt Deco Books (Tokyo Metropolitan Art Museum)

  この美術館は、日本においてアールデコの展覧会を行うには最適な場所と言えるだろう。 これまでも幾度となくそうした展覧会が行われているが、今回は、アールデコの時代に出版された貴重な書の数々が、館内のあちこちの場所に展示されていた。 1925年のパリ万博における日本セクションのパンフレットや、美しいデザインの表紙が印象的な1930年台のハーパーズ・バザー、1920年台に出版された美しい絵本など、好本家にはたまらない多くの書籍が展示されていた。 This museum is the perfect place to hold an Art Deco exhibition in Japan. Such exhibitions have been held many times in the past, but this time, a number of valuable books published during the Art Deco era were exhibited in various places in the museum. Many books that are irresistible to enthusiasts are exhibited, such as the pamphlet of the Japan section at the 1925 Paris Expo, the Harpers Bazaar in the 1930s with an impressive cover of beautiful design, and the beautiful picture book published in the 1920s. Was there.

生誕110年 松本竣介(神奈川県立近代美術館 鎌倉別館) 110th anniversary of birth Shunsuke Matsumoto (Museum of Modern Art, Kamakura)

  松本竣介の展覧会があると聞いたら、多少その場所が離れていても、足を向けざるを得ない。 松本は、戦前に『雑記帳』という雑誌の編集を行っていた。 その雑誌の挿絵を自分でも書いたが、他の画家にも依頼していて、猪熊弦一郎、難波田龍起、三岸節子、靉光、⻑谷川利行などの作品も展示されていた。 松本竣介の意外な一面を知ることができて、とても興味深かった。 合わせて、お馴染みの『立てる像』や『建物』、『橋』などの作品も展示されていた。 When I hear that there is an exhibition by Shunsuke Matsumoto, I have no choice but to turn my foot even if the place is a little far away. Matsumoto was editing a magazine called "Miscellaneous Notes" before the war. He wrote the illustrations for the magazine himself, but he also commissioned other painters to displayworks by Genichiro Inokuma, Tatsuoki Nanbata, Setsuko Migishi, Aimitsu, and Toshiyuki Nagatanigawa, etc. I was very interested in learning about the surprising side of Shunsuke Matsumoto. At the same time, his familiar works such as "Standing Statue", "Building", and "Bridge" were also exhibited.

名品撰品(金沢文庫) Masterpieces & Selections (Kanagawa Prefecture Kanazawa-Bunko Museum)

  金沢文庫のコレクション展。 展示品を選んだ学芸員により、その選定理由と合わせて展示されていた。 印象に残ったのは、一つは秘抄口決などの密教関係の文書。密教をベースにした呪術などの行為は、いかにも中世の日本に漂っていた雰囲気のようなものが色濃く感じされる。 もう一つは、声明や古い歌謡に関する資料。五線譜とは全く違ったコンセプトで、不思議な記号を駆使して音楽を伝えようとしていた人々、そしてそれらを見て歌い、演奏した人々の思いが感じられた。 Kanazawa Bunko collection exhibition. It was exhibited by the curator who chose the exhibit, along with the reason for its selection. One thing that impressed me was the documents related to esoteric Buddhism, such as the secret decision. Acts such as magic based on esoteric Buddhism have a strong feeling of the atmosphere of medieval Japan. The other is materials related to statements and old songs. It was a completely different concept from the staff notation, and I could feel the thoughts of those who were trying to convey music by making full use of mysterious symbols, and those who saw them, sang, and played.

国宝手鑑「見努世友」と古筆の美(出光美術館) National treasure "Mineyonotomo" and old Calligraphy (Idemitsu Museum of Art)

  新型コロナの影響で、およそ2年の間、展覧会が行われなかった出光美術館での久しぶりの展覧会。 再開後の最初の展覧会は、修復が終わったという国宝の手鑑「見努世友」を大々的に公開するという贅沢な内容だった。 手鑑「見努世友」はこれまでもこの美術館で開催された書に関する展覧会で、いくつかのページが断片的に紹介される程度だった。 それが一気に広げられて展示されている様子は、それは壮観なものだった。 後半の展示は、休館前に行われていた茶道具の展覧会の内容を再構成したもので、それらを見ていくうちに、休館中の時間を取り戻しているような気分になった。 This is the first exhibition in a long time at the Idemitsu Museum of Arts, which has not been held for about two years due to the influence of the new Corona. The first exhibition after the reopening was a luxurious exhibition of the national treasure tekagami "Mineyonotomo", which was said to have been restored. The tekagami "Mineyonotomo" has been an exhibition about books held at this museum, and only a few pages were introduced in fragments. It was spectacular to see it spread out and exhibited at once. The second half of the exhibition was a reconstruction of the contents of the tea utensils exhibition that was held before the museum was closed, and as I looked at them, I felt like I was regai

スコットランド美術館展(東京都美術館) Masterpieces from the National Galleries of Scotland (Tokyo Metropolitan Museum of Art)

  英国のエジンバラにあるスコットランド美術館から、西洋絵画の名品が出品された展覧会。 以前、BBCのアート・ドキュメンタリーでこの美術館を紹介した番組だありとても面白かったので、この展覧会もとても楽しみだった。 ルネサンスからバロック、19世紀の美術を経て印象派まで、ラファエロ、エル・グレコ、レンブラント、ベラスケス、ゲインズバラ、レノルズ、コロー、モネ、ゴーギャンなど、文字通り巨匠たちの作品が展示会場に並んだ。 印象に残った作品をいくつかあげていこう。 ピエトロ・ダ・コルトーナの小さなデッサン。コルトーナはイタリアのバロックを代表する画家で、ローマを訪れた時にベルベリーニ宮の壮麗な天井画を見てから、その名が忘れられないものとなった。 ウィリアム・ブレイクの”石板に十戒を記す神”。ブレイクがあるパトロンのために描いた、聖書をテーマにした水彩画の一つ。 ブレイクの描く幻想的な世界は、いつでもそれを見るひとのインスピレーションを激しくかき立てる。 同じ時期に、国立新美術館でメトロポリタン美術館展が開催されて、そちらでもティツィアーノ、カラヴァッジオ、フェルメール、レンブラントなどの名品が数多く展示されていた。 こちらの展覧会を合わせて見れば、西洋絵画の流れを概観することができるだろう。 An exhibition of masterpieces of Western painting from the Scottish National Galleries in Edinburgh, England. I was looking forward to this exhibition because it was a program that introduced this museum in the BBC art documentary before and it was very interesting. From the Renaissance to Baroque, through 19th century art to the Impressionists, the works of masters such as Raphael, El Greco, Rembrandt, Velázquez, Gainesborough, Reynolds, Corot,