スキップしてメイン コンテンツに移動

澁澤龍彦 高丘親王航海記(鎌倉文学館) Tatsuhikio Shibusawa : Voyage of Takaoka Imperial Prince (Kamakura Museum of Literature)

 


澁澤龍彦が書いた唯一の長編小説、高丘親王航海記をテーマにした展覧会。

澁澤は鎌倉で暮らしていたが、その所縁の鎌倉文学館で、没後35年を記念して開催された。

高丘親王は実在の人物。嵯峨天皇の第3皇子で、空海の十大弟子の一人にも数えられたが、老年になってから天竺行きを志して渡海。その志を遂げることなく、旅の途中で亡くなったと言われている。

澁澤といえば、ダークで幻想的な、あるいはエロティックなテーマのエッセイや短編小説でよく知られている。

その総決算とも言えるこの長編小説は、昭和60年から連載が開始されて、昭和62年に完結した。

しかし執筆中の澁澤は癌に犯されていて、脱稿も入院中に迎え、その同じ年に亡くなった。

鎌倉文学館の展示会場には、高丘親王航海記の直筆の原稿や、澁澤が参考にした書籍や資料などが展示されていた。

これまでに澁澤の本はエッセイについては何冊か読んだことがあったが、その小説は読んだことがなかった。

この展覧会に合わせて、この本を初めて読んでみたが、それまでに読んだことのないような、不思議な雰囲気に満ちた小説で、展示されていた原稿や資料を見ることでよりその内容に深く入り込んでしまい、この先も忘れることのできそうにない小説となった。

An exhibition on the theme of Tatsuhiko Shibusawa's only full-length novel, The Voyage of Imperial Prince Takaoka.

Shibusawa lived in Kamakura, and the event was held at the Kamakura Museum of Literature, which was associated with him, to commemorate the 35th anniversary of his death.

Prince Takaoka is a real person. He was the third son of Emperor Saga and was counted as one of Kukai's ten greatest disciples. He is said to have died on his journey without fulfilling his wishes.

Shibusawa is best known for his essays and short stories on dark, fantastical and erotic themes.

This full-length novel, which can be said to be the total settlement, began serialization in 1985 and was completed in 1987.

However, while he was writing, Shibusawa was stricken with cancer, and he died in the same year when the novel was completed.

At the Kamakura Literature Museum exhibition hall, there were exhibits such as the handwritten manuscript of Imperial Prince Takaoka's Voyage, and the books and materials that Shibusawa referred to.

I had read several books about Shibusawa's essays, but had never read the novel.

I read this book for the first time in conjunction with this exhibition, but it was a novel filled with a mysterious atmosphere that I had never read before. I got deeply into it, and it became a novel that I will never be able to forget.









コメント

このブログの人気の投稿

フジタが目黒にやって来た(目黒区立美術館) Anatomy of the Museum Collection (Muguro Museum of Art, Tokyo)

総数2,400点を超えるコレクションを誇る、目黒区立美術館の流れを振り返る展覧会。 この美術館は1981年に開館したが、当初は海外に留学したり海外で活躍した画家の作品を中心に収集することを目指していた。 犬やウサギなどがキャンバスの中で飛び跳ねている、藤田嗣治の”動物群”が最初の収蔵作品だったという。その作品が展示会場の入り口に誇らしげに展示されていた。 その後、目黒区ゆかりの作品が美術館に寄付されるようになって、コレクションの内容は次第に充実したものになっていたという。 さらに1998年以降は、絵画以外にも陶芸や彫刻、デザイン作品なども増えて多彩なものになっていった。 2014年に行われたジョージ・ネルソン展など、この美術館で行われたデザイン関連の展覧会に行ったことを思い出す。 4つのコーナーに分かれて展示された作品によって、そうした美術館のコレクションの歴史を辿ることができた。 An exhibition that looks back on the flow of the Meguro Museum of Art, which boasts a collection of over 2,400 items. The museum opened in 1981, and initially aimed to collect mainly the works of artists who studied abroad or were active overseas. It is said that Tsuguharu Foujita's "Animal Group", in which dogs and rabbits jumped around on canvas, was his first collection. The work was proudly displayed at the entrance of the exhibition hall. After that, works related to Meguro Ward began to be donated to museums, and the contents of the collection gradually expanded. Since 1998, c

古美術逍遙(泉屋博古館東京) Stroll through the Art of East Asia (Sen-Oku Hakukokan Museum)

  泉屋博古館東京のリニューアルオープンを記念する展覧会の第3弾は、中国や日本の書画や工芸品を展示するという内容。 雪舟や伊藤若冲の絵画も見応えがあったが、やはり中国絵画のコーナーが圧倒的だった。 この美術館で過去に何度か目にしてきた、八大山人の安晩帖。いつも頁ごとの展示となってしまう作品だが、今回展示されていたのは、第6図の鱖魚だった。 石濤の黄山八勝図冊。それほど大きくないページの中に、実に細かい筆使いで青みがかった山水画が描かれている。 その幻想的な世界観にしばし見惚れてしまい、時間を忘れてしまった。 日本の絵画からは、周文の筆によると伝わる山水図。こちらも中国の絵画に負けずに、なんとも言えない幽玄の雰囲気を、驚異的な筆使いで表現していて、見応え十分。 最後の第4展示室には、文房具と煎茶の道具が飾られて、合わせてその隣に張瑞図や許友の絵も展示されて、中国の文人世界を感じられる、素晴らしい空間になっていた。 The third exhibition to commemorate the reopening of Sen-Oku Hakukokan Tokyo will feature Chinese and Japanese calligraphy, paintings, and handicrafts. The paintings by Sesshu and Ito Jakuchu were also worth seeing, but the Chinese painting corner was overwhelming. Anbancho of Hachidaisanjin, which I have seen several times in the past at this museum. The work is usually displayed page by page, but the one displayed this time was the trout fish in Fig. 6. Huangshan Eight Victories Book of Shitao. In the not-so-large pages, a bluish landscape painting is drawn with really fine brush

塩見允枝子+フルクサス(ときの忘れもの) Shiomi Mieko + FLUXUS (TOKI-NO-WASUREMONO)

  フルクサスのメンバーとして活動していた塩見允枝子と、フルクサスの他のメンバーとの作品が展示されていた。 日本からフルクサスから参加した人物といえば、オノ・ヨーコの知名度が圧倒的だ。 塩見允枝子の作品をまとめて目にするのはこれが初めてだったが、オノ・ヨーコに引けを取らないユニークな作品が多く、見応えがあった。 世界全体をステージとして見立てて、各地のメッセージを送ってパフォーマンスをイベントを行ってもらい、その結果を共有するというアイデアは、いかにもフルクサスらしい。 また、壁にずらりと並べられていた、星座を観察するための窓、という作品もユニークだった。60年代の別なテーマの作品を、2019年にテーマを変えてリメイクした作品。いまだに創造の意欲は衰えていないようだ。 フルクサスの他のメンバーでは、ナムジュン・パイク、ジョナス・メカス、ジョン・ケージらの作品が展示されていた。 フルクサスを始めたマチューナスの、デザイナーとしての才能が遺憾無く発揮された、フルクサス新聞が展示されていて、そのユニークな構成にしばらく見入ってしまった。 Works by Mieko Shiomi, who was active as a member of Fluxus, and other members of Fluxus were on display. Speaking of people from Fluxus from Japan, the name recognition of Yoko Ono is overwhelming. This was the first time I had seen Mieko Shiomi's work as a whole, but she had many unique works that were on a par with Yoko Ono, and it was worth seeing. Her idea of ​​using the entire world as a stage, sending messages from various places to perform events and sharing the results, is very Fluxus-like. Also unique were t