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1月, 2022の投稿を表示しています

日本の伝統芸能(東京国立博物館) The World of Traditional Performing Arts (Tokyo National Museum)

  日本の伝統芸能を紹介する東京国立博物館での展覧会。昨年の春に開催が予定されていたが、新型コロナの感染が広まったため中止となっていた。 まずは、日本の伝統芸能を代表する歌舞伎から。江戸時代を代表する芸能でもあり、歌舞伎をテーマにした多くの浮世絵が描かれた。 An exhibition at the Tokyo National Museum that introduces traditional Japanese performing arts. It was scheduled to be held last spring, but it was canceled due to the spread of the new corona infection. First of all, Kabuki, which represents traditional Japanese performing arts. It is also a performing art that represents the Edo period, and many ukiyo-e prints with the theme of Kabuki were drawn. 続いては、文楽。文楽といえば、人形の方にどうしても関心がいってしまうが、元々は浄瑠璃という語り音楽がこの芸能の中心。 現在の漫才までつながる大阪の語りの文化が結晶したのがこの文楽という芸能なのだろう。 生身の人間が演じるより、人形の方が表現がリアルになるというのが、文楽の大きな魅力の一つでもある。 Bunraku. Speaking of bunraku, puppets are always interested, but originally, the narrative music called Joruri was the center of this entertainment. Bunraku is probably the crystallization of Osaka's narrative culture, which leads to the current manzai. One of the great attractions of Bunraku is that the express

ポンペイ(東京国立博物館) Pompeii (Tokyo National Museum)

東京国立博物館で行われたポンペイ展。展覧会の名前は、”ポンペイ”。それを補うためのコピーなど何も必要はない。”ポンペイ”という名前だけで、その展覧会の内容の全てがわかる。それだけ、この名前は人々によく知られている。 Pompeii exhibition held at the Tokyo National Museum. The name of the exhibition is "Pompeii". You don't need a copy to make up for it. The name "Pompeii" is all you need to know about the contents of the exhibition. That's why this name is so well known to people. 西暦79年、ナポリ郊外のヴェスヴィオ火山が噴火して、その麓の町ポンペイはその噴出物によって飲み込まれてしまった。 この展覧会では、当時ポンペイに住んでいた人々が、どんな暮らしをしていたのか、発掘された品々を通じて紹介していた。 In 79 AD, the Vesuvius volcano on the outskirts of Naples erupted, and the town of Pompeii at the foot of the eruption was swallowed by the ejecta. In this exhibition, the people who lived in Pompeii at that time introduced how they lived through the excavated items. 古代ローマの建築技術が素晴らしかった、という話は何度も聞いてきた。この現代でも使えそうな水道のバルブを見ると、その技術力の高さに改めて驚かされる。 I've heard many times that the building techniques of ancient Rome were wonderful. When I see a water valve that can be used even in moder

美の標準(日本民藝館) The Standard of Beauty (Japan Folk Grafts Museum)

  柳宗悦は、独自の視点で日本や世界の民芸品を、独自の美の視点で収集した。その”美の標準”について、作品とともに紹介する日本民藝館での展覧会。 柳宗悦はその美の標準について、不二の美、無上の美、美醜なき美、という言葉で表現したという。 言葉だけではよくわからないが、実際に柳が収集した素朴な味わいの民芸品、奉納面、大井戸茶碗、スリップウェアなどを見ると、柳の”美の標準”がよくわかる。 今は個人のコレクションになっている、伊勢参詣曼荼羅が特別に展示されていたが、その絵について柳は、”絵のための絵でなく、宗教的な実用性に満ちていて、工芸的な絵である”と述べている。 他にも民藝運動にゆかりの作家たち、河井寛次郎、宗像思考、濱田庄司、芹沢銈介、バーナード・リーチらの作品も展示されていた。 柳宗悦らが始めた、民藝運動の本質について触れることができる内容の展覧会だった。 Soetsu Yanagi collected Japanese and world folk crafts from his own perspective of beauty. An exhibition at the Japan Folk Crafts Museum that introduces the "standard of beauty" along with his work. It is said that Soetsu Yanagi described the standard of beauty with the words Fuji beauty, superior beauty, and beauty without ugliness. It's hard to understand from words alone, but if you look at the simple folk crafts, votive offerings, Oido tea bowls, slipware, etc. that Yanagi actually collected, you can understand Yanagi's "standard of beauty". The Ise pilgrimage mandala, which is

ハリー・ポッターと魔法の歴史展(東京ステーションギャラリー) Harry Potter: A History Of Magic (Tokyo Station Gallery)

  東京ステーションギャラリーで行われた、ハリー・ポッターと魔法についての展覧会。 私の目当ては、この展覧会名の後半の”魔法の歴史”についての方だったが、世界的でベストセラーになり映画化もされたハリー・ポッターがテーマの展覧会とあって、そちら目当ての多くの人々が会場を訪れていた。 小説の中に登場する魔法学校の授業のカリキュラムに沿って、魔法薬学、錬金術、薬草学、呪文学、天文学、占学などのコーナーに分かれていた。 錬金術についての秘密が書かれているという、リプリー・スクロール。展示されていたのは写本だが、不思議な絵が描かれていて、それがどう錬金術と関係あるのか、見当がつかない。 しかしその長さは4メートル以上あり、詳細なその内容を見ると、それが決して誰かを騙そうとして描いたのではなく、真剣に描いていたのだ、ということだけはよくわかる。 月に関するレオナルド・ダ・ヴィンチの手稿と、1000以上もの恒星の位置が描かれているケプラーのルドルフ表。 天文学が科学として確立する以前は、星々の動きを観察することは、魔術の一つであったということは、実に興味深い。 また日本での開催ということで、瑞龍寺から河童、竜、そして人魚のミイラが展示されていた。 それらは意外と小さく、伝説などで伝えられている恐ろしさよりも、なんだか可愛らしいという印象を持った。 ハリー・ポッターのことは映画でしか知らなかったが、この展覧会を見て、作者のJ.K.ローリングが魔法の歴史のことをよく調べて、作品に活かしてことがよくわかった。 An exhibition about Harry Potter and magic at the Tokyo Station Gallery. My aim was about "magical history" in the latter half of the exhibition name, but there is an exhibition with the theme of Harry Potter, which has become a global bestseller and has been made into a movie. Many people were visiting the venue. According to the c

ミニマル/コンセプチュアル(DIC川村記念美術館) Minimal / Conceptual (Kawamura Memorial DIC Museum of Art)

  新型コロナの感染状況などもあって、久しぶりに、ほぼ1年ぶりに訪れたDIC川村記念美術館。 ミニマル・コンセプチュアルアートという、この美術館のテーマに相応しい展覧会が行われていた。 コンラー・フィッシャーという人物が、デュッセルドルフにギャラーを開いた。そのギャラリーで、フィッシャーはミニマル・コンセプチュアルアートの展覧会を次々に開いていった。 ミニマル・コンセプチュアルアートの作品には巨大なものが多く、移動には多くのコストがかかった。 フィッシャーは、アーティストにデュッセルドルフに来て作品を作ってもらったり、あるいはアーティストからの指示書に基づいて、自らそのアーティストの作品を制作したりした。 会場には、そうしたアーティストたちの作品や、アーティストたちからの指示書や手紙などが展示されていた。 ゲルハルト・リヒター、マルセル・ブロータース、ブリンキー・パレルモ、河原温などこれまで知っていたアーティストの展示もあったが、その多くは寡聞にもこれまで知らなかったアーティストたちの作品で、とても興味深く見ることができた。 フィッシャーのギャラリーの写真や、会場にそれを再現したスペースなどがあったが、本当に小さなギャラリーで、そんなところでよく展示ができたな、というのが正直な印象だった。 しかし、アートの歴史を変える作品というものは、大規模な美術館で大々的に行われる展覧会ではなく、このフィッシャーのギャラリーのような小さなギャラリーで行われる展覧会で最初に展示されるのだろう。 The DIC Kawamura Memorial Museum of Art, which I visited for the first time in almost a year, due to the infection of the new corona. There was an exhibition called Minimal Conceptual Art, which fits the theme of this museum. A man named Konler Fisher opened a galler in Düsseldorf. At the gallery, Fisher held a series of exhibitions of minimal conc

エビスのせかい(国立歴史民俗博物館) Ebisu's World (National Museum of Japanese History)

エビスと言えば、太った体で満面に笑顔を浮かべて鯛を抱えている姿がすぐに思い浮かぶ。 エビス様は、元々は漁業の神として祀られていたようだが、農業の神としても祀られれることもあり、生産活動全般についての福神として人々に信仰されてきた。 これだけポピュラーでありながら、意外にも、その実像にはわかっていないことが多いという。 小さな展示スペースでの特集展示だったが、広大なエビス様の世界の一端が、そこには現れているような気がした。 Speaking of Ebisu, I immediately think of a fat body with a big smile and a sea bream. It seems that Ebisu was originally enshrined as a god of fishing, but sometimes it is enshrined as a god of agriculture, and has been worshiped by people as a god of good fortune regarding overall production activities. Although it is so popular, surprisingly, it is often unknown to the real image. It was a special exhibition in a small exhibition space, but I felt that a part of the vast world of Ebisu appeared there.  

江戸のビスタ(国立歴史民俗博物館) Edo Vista (National Museum of Japanese History)

  新型コロナの感染状況を鑑みて、千葉の佐倉にある国立民俗博物館には、しばらく訪れなかった。 久しぶりの来館となったが、企画展示はなく、特集展示として”江戸のビスタ”という展示が行われていた。 ビスタとは、”家並みや並木のある通りを遠くまで見通した景色のこと”らしい。 江戸時代の後期、長い泰平の世が続き、経済が反映したこともあって、都の東京は空前の反映を謳歌していた。 それを表すものとして、歌川広重、歌川豊国、歌川国芳らの売れっ子浮世絵師たちが江戸の様子を描いた狂歌本や、江戸のビスタを描いた浮世絵や泥絵、現代のガイドブックのような買い物案内書など、興味深い品々が展示されていた。 江戸時代の日本は鎖国をしていたが、長崎を通じて西洋の絵画なども持ち込まれていた。その影響で、風景を立体的に描く透視図法は、日本の絵師たちにも定着していたようだ。 Given the infection status of the new corona, I did not visit the National Museum of Japanese History in Sakura, Chiba for a while. It's been a long time since I visited the museum, but there was no special exhibition, and an exhibition called "Edo Vista" was held as a special exhibition. Vista seems to be "a view of the streets with houses and trees from afar". In the latter half of the Edo period, the long world of Taihei continued, and the economy reflected, so the capital Tokyo enjoyed an unprecedented reflection. To express this, Hiroshige Utagawa, Toyokuni Utagawa, Kuniyoshi Utagawa and ot

趙孟頫とその時代(東京国立博物館) Zhao Mengfu and His Times (Tokyo National Museum)

宋の太祖の11代目の子孫として生まれながら、宋を滅した元の宮廷に使えた趙孟頫に焦点を当てた展覧会。 趙孟頫より少し前の時代の書画から、同時代あるいは影響を受けたその後の書画などが展示されていた。 趙孟頫は、南方の湖州に生まれて、幼い頃から王羲之の書をよく学んでいた。そのせいもあるのだろう、その書はとてもオーソドックスなものという印象を持った。 多くの日本からの留学僧は、中峰明本の弟子の禅僧に多く学んだが、その日本にも馴染みの深い中峰明本の個性的な書も印象的だった。 清の第6代皇帝の乾隆帝は、趙孟頫の書を好んでいたという。その書は実に見事なもので、中国の君子のあり方とは何か、ということをよく表しているようだ。 以下の写真は、趙孟頫、鮮于枢、馮子振、中峰明本、そして乾隆帝の書。 An exhibition focusing on Zhao Mengfu, who was born as the 11th descendant of Song's great ancestor and was used in the former court that destroyed Song. From the works of the period shortly before Zhao Mengfu, the works of the same period or after that were exhibited. Zhao Mengfu was born in Huzhou in the south and studied Wang Xizhi's book from an early age. Perhaps because of that, I had the impression that the book was very orthodox. Many study abroad monks from Japan learned a lot from Zen monks who were disciples of Zhongfeng Ming, but the unique books of Zhongfeng Ming, who are familiar with Japan, were also impressive. Qianlong, the s

博物館に初もうで(東京国立博物館) New Year's Celebration at the Museum (Tokyo National Museum)

このところ、ほぼ毎年と言っていいくらい、お正月には東京国立博物館を訪れている。 ”博物館に初もうで”と題して、その歳の干支にちなんだ作品が本館の2つの特別室で展示される。 今年の干支は虎。虎はアジアでは強さの象徴であり、日本美術の題材としても、よく利用される題材なので、展示となった候補は数多くあったであろう。 王道と言える龍虎の屏風絵や十六羅漢図、ユニークなところでは陣羽織に描かれた虎や、虎の博物写生図など、様々な虎の作品が展示されていた。 Recently, I visit the Tokyo National Museum on New Year's Day almost every year. Under the title "Museum for the first time", works related to the zodiac of that age will be exhibited in two special rooms in the main building. This year's zodiac is a tiger. The tiger is a symbol of strength in Asia and is often used as a subject of Japanese art, so there must have been many candidates for the exhibition. Various tiger works such as folding screen paintings of dragon tigers and 16 Arhats, which can be said to be the royal road, tigers drawn on jinbaori in unique places, and tiger's natural history drawings were exhibited. 橋本雅邦の龍虎図下絵。大きな作品のための下絵だが、荒立つ波飛沫を間にして、睨み合う天の龍と地の虎の睨み合いは、とても迫力がある。 Hashimoto Masakuni's dragon tiger drawing sketch. It'