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7月, 2022の投稿を表示しています

よめないけど、いいね!(根津美術館) Can’t Read It, but I Like It! (Nezu Museum)

  根津美術館の書の名品を展示した展覧会。 何ともユニークな名前の展覧会だが、確かに、”書の名品展”などのありふれた名前では、それほどの集客は見込めないかもしれない。 展示は、写経、古筆、墨蹟、そして近世以降の書蹟という構成で行われた。 どの書蹟も、見応えがあり、興味深く見ることができたが、とりわけ印象に残ったのは、13世紀に書かれた大般若経だった。 浄阿という尼僧が、14年をかけてたった一人でその600巻を書き上げて、春日大社に奉納したという。 そのうちの何巻かが展示されていたが、その字は大きく、太く、墨もたっぷりと使われて書かれていて、書はまさにその人物をよく表す、という言葉が思い出された。 An exhibition of masterpieces of books from the Nezu Museum. It's an exhibition with a unique name, but it's true that ordinary names such as "Book Exhibition" may not attract so many customers. The exhibition consisted of sutras, kohitsu, sumi, and calligraphy from the early modern period. All the books were spectacular and interesting, but the most impressive one was the Large Prajna, written in the 13th century. It is said that a nun named Jyoa wrote 600 volumes by herself over 14 years and dedicated them to Kasuga Taisha Shrine. Some of them were on display, but I remembered that the calligraphy really represented the person by seeing the words that the letters were l

特別展 アリス(森アーツギャラリーセンター) Alice: Curiouser and Curiouser (Mori Art Gallery center)

  ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』について、様々な側面からその魅力に迫る興味深い展覧会。 ロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館で行われた展覧会を、再構成して開催された。 最初のコーナーでは、ルイス・キャロルがこの本を書くに至った経緯、当時のヴィクトリア朝の社会の様子、『不思議の国のアリス』の初版本などが展示されていた。 その後は、『不思議の国のアリス』を元に製作された舞台や有名なディズニーのアニメ映画についての資料、この本にインスパイアされたアーティストの作品、ドレスや衣装などが紹介されていた。 ルイス・キャロルは、本の出版に当たって挿絵がとても重要であると考えて、ジョン・テニエルが選ばれた。 そして、その素晴らしい挿絵は、その後に多くの画家やイラストレーターたちにとって”高い基準”となった。 この『不思議の国のアリス』という作品は、最初からビジュアルな作品として作られて、それがこの展覧会に見られるような、その後の壮大な空想世界を生み出すことになったのだろう。 An interesting exhibition about Lewis Carroll's "Alice in Wonderland" that explores its charm from various aspects. The exhibition was reorganized and held at the Victoria & Albert Museum in London. In the first corner, the story of how Lewis Carroll came to write this book, the state of Victorian society at that time, and the first edition of "Alice in Wonderland" were exhibited. After that, materials about the stage and famous Disney animated films based on "Alice in Wonderland", works of artists inspired by th

スイス プチ・パレ美術館展(SOMPO美術館) Collections du Musée du Petit Palais de Genève (Sompo Museum of Art)

  プチ・パレ美術館は、事業で成功したオスカー・ゲーズが収集したフランス近代絵画を展示するために、1968年に開館した美術館。 オスカー・ゲーズは収集にあたり、比較的廉価で購入することができ、それほど有名ではないが需要な役割を果たした画家の作品を集めることを目指したという。 ルノワール、ドニ、ブラマンク、ユトリロなどの作品もあったが、多くはあまり知らない画家だったので、とても興味深かった。 それでも、印象派に始まり、新印象派、ナビ派、フォーヴィズム、キュビスム、エコール・ド・パリとフランスの近代絵画の歴史をたどれる内容で、コレクションとしての質の高さを強く感じた。 印象に残ったのは、神智学に関心が深かったというポール=エリー・ランソンと、キュビスムの理論家としても知られるジャン・メッツァンジェの作品だった。 以下の写真は、SOMPO美術館のコレクションから。 The Petit Palais Museum was opened in 1968 to display modern French paintings collected by the successful Oscar Gaze. Oscar Gaze said that he aimed to collect the works of painters who could be purchased at a relatively low price and played a lesser-known but demanding role. I found the works by Renoir, Doni, Bramanck, Utrillo, but many were unfamiliar painters, so it was very interesting. Still, I strongly felt the quality of the collection, starting with Impressionism, tracing the history of Neo-Impressionism, Les Nabis, Fauvism, Cubism, the School of Paris and modern French painting. Impressive were the w

ガブリエル・シャネル展(三菱一号館美術館) Manifest de Mode (Mitsubishi Ichigokan Museum)

  シャネルがデザインしたドレスやスーツ、香水やジュエリーなどを紹介した、国際巡回展。 この美術館は赤いブロックの壁で知られるが、この展覧会に関しては内部は全て黒い背景で覆われて、館内はシャネルの世界観で統一されていた。 前半は初期のシンプルながら美しいシルエットのドレスの展示、後半は戦後に発表したシャネル・スーツ、という構成だった。 ファッションとは、単に洋服のデザインをするということだけではなく、その時代の人々の生き方や暮らしのあり方をデザインするのだということを、このガブリエル・シャネルというデザイナーほどよく表している人物は他にいないのではないか、と感じられた。 An international traveling exhibition that introduces dresses and suits designed by Chanel, perfumes and jewelry. The museum is known for its red block walls, but for this exhibition the interior was entirely covered with a black background and the interior was unified with Chanel's worldview. The first half consisted of an exhibition of dresses with simple but beautiful silhouettes in the early days, and the second half consisted of the Chanel suit announced after the war. No other designer, Gabriel Chanel, expresses that fashion isn't just about designing clothes, it's about designing the way people live and live in that era. I felt like that.

メメント・モリと写真(東京都写真美術館) The Illumination of Life by Death (Tokyo Photographic Art Museum)

  東京都写真美術館のコレクション展。テーマは死と写真。 会場の入口では、序章としてハンス・ホルバインの版画『死の像』からの小さな作品が来場者を”死の世界”へと誘う。 続いて、メメントモリと写真、孤独、幸福、という3つの章に分けてコレクション作品が展示されていた。 第1章のメメント・モリと写真には、ユージン・スミス、マリオ・ジャコメッリ、ロバート・キャパなど。 第2章のメメント・モリと孤独、そしてユーモアには、荒木経惟、リー・フリードランダー、ロバート・フランクなど。 そして第3章のメメント・モリと幸福には、藤原新也、ウジェーヌ・アジェ、東松照明など。 中でも、モノクロ写真の白と黒のコントラストを最大限に活かした、マリオ・ジャコメッリの作品がとても印象的だった。 Collection exhibition of Tokyo Photographic Art Museum. The theme is death and photography. At the entrance of the venue, a small work from Hans Holbein's print "The Statue of Death" invites visitors to the "world of death" as an introduction. Then, the collection works were exhibited in three chapters: Memento Mori and photography, loneliness, and happiness. Chapter 1 Memento Mori and photos include Eugene Smith, Mario Giacomelli, Robert Capa and more. Chapter 2 Memento Mori, loneliness, and humor include Nobuyoshi Araki, Lee Friedlander, and Robert Frank. And in Chapter 3 Memento Mori and Happiness, Shinya Fujiwara, Eugene Atget,

沖縄の美(日本民藝館) Okinawa beauty (Japan Folk Crafts Museum)

  民藝運動を主導した柳宗悦が沖縄を初めて訪れたのは、1938年にことだった。 それ以降、4回沖縄を訪れて、自らの美意識に従って数多くの品々を収集した。 太平洋戦争で沖縄は日本軍の盾として利用されて、米軍の攻撃によって多くの美術品や工芸品が失われた。 柳宗悦が収集した品々は、奇しくもそうした戦火を逃れることができた。 そうした沖縄の民芸品が、本館の大展示室に展示されていた。 色々なものがあったら、やはり目についたのは、色鮮やかな紅型の着物と、素朴な味わいの壷屋の陶器だった。 沖縄という土地のことを思う際に、どうしてもその不幸な過去や現在の状況について思いを馳せざるを得ない。 しかしそんな時でも、柳宗悦の次の言葉をいつも心に刻んでいたい。”私達は優れた沖縄を語りたいのです。私達は実に多くの富について語り合いたいのです。” Muneyoshi Yanagi, who led the Mingei movement, first visited Okinawa in 1938. Since then, he has visited Okinawa four times and collected many items according to his own aesthetic sense. In the Pacific War, Okinawa was used as a shield for the Japanese army, and many arts and crafts were lost due to the attack of the US army. The items collected by Muneyoshi Yanagi were able to escape such a war. Such Okinawan folk crafts were exhibited in the large exhibition room of the main building. If there were various things, what I noticed was the colorful bingata kimono and the pottery with a simple taste made at Tsuboya. When I think

キース・ヴァン・ドンゲン展(パナソニック汐留ミュージアム) Kees Van Dongen (Panasonic Shiodome Museu,¥m of Art)

  キース・ヴァン・ドンゲンは、オランダに生まれてやがてパリに居を移して、エコール・ド・パリ期の画家となった。 キース・ヴァン・ドンゲンのことは、フォーヴィズムの画家の一人としてその名前は知っていたが、マチスやブラマンク、ドランなどに比べてその印象は薄かった。 この展覧会でまとまった数の作品を見ることができ、キース・ヴァン・ドンゲンという画家についてよく知ることができた。 とりわけ感動したのは、カラフルな絵画の裏に隠された、卓越したその色彩感覚だった。 青と薄ピンクのドレスを着た二人の女性が緑の木々の前でポーズをとっている『パリジェンヌ』。 黒い背景の前に置かれた灰色の花瓶に、紫やオレンジそして白い花が活けられている『花瓶』。 キース・ヴァン・ドンゲンは間違いなく、マチスと並ぶ色の魔術師の一人だ。 その一方で、アフリカを訪れた際に砂漠の風景を描いた『エジプト風景』という作品には、何か東洋的な厭世観のようなものも感じられた。 とにかく、また一人、とんでもない画家に出会ってしまったようだ。 Kees van Dongen was born in the Netherlands and eventually moved to Paris to become a painter during the School of Paris. I knew Kees van Dongen as one of the Fauvist painters, but his impression was smaller than that of Matisse, Bramanck, and Vlaminck. I was able to see a large number of works in this exhibition and learned a lot about the painter Kees van Dongen. He was particularly impressed by the outstanding sense of color hidden behind the colorful paintings. "Parisenne" where two women in blue and light pink dresses are posing

水木しげるの妖怪 百鬼夜行展(東京シティビュー) Shigeru Mizuki's Youkai Hyakki Yagyo (Tokyo City View)

  妖怪の漫画で知られる漫画家、水木しげるの生誕100年を記念した展覧会。 最初のコーナーは、AR技術を使って水木しげるの描いた妖怪たちが現れるという夏休みの親子連れが楽しめる企画展示だった。 続いて、水木しげるの生涯を振り返る展示。幼い頃に知り合った”のんのんばあ”から妖怪の話を聞かされて育ったという。 水木しげるが古書店を散策して購入したという、鳥山石燕や柳田國男などの妖怪に関する絵本や本などが展示されていた。 水木しげるは妖怪の絵を描くにあたって、単に自分のイマジネーションだけでなく、そうした先人たちの様々な成果を参考にしていた。 最後のコーナーでは、水木しげるの描いた原画が展示されていたが、水木しげるは鳥山石燕や北斎の描いた妖怪をほぼそのまま写して描いていたことがわかる。 水木しげるにとっては、妖怪を描くこととは自分の創造性を発揮するというより、昔から伝えられてきた妖怪という存在を、現代そして未来にも伝えていこう、という意識が強かったようだ。 水木しげるという存在を通じて、自然の不思議な現象を妖怪という形で表現してきた、妖怪文化というもののあり方に、改めて考えてみることができた。 An exhibition commemorating the 100th anniversary of the birth of Shigeru Mizuki, a manga artist known for youkai manga. The first corner was a special exhibition that parents and children can enjoy during the summer vacation, where youkai drawn by Shigeru Mizuki using AR technology will appear. Next, an exhibition that looks back on the life of Shigeru Mizuki. It is said that he grew up listening to the story of a youkai from a "nonnonbaa" he met when he was young. Picture books and

兼好法師と徒然草(神奈川県立金沢文庫) Yoshida Kenko and Tsurezuregusa (Kanagawa Prefectural Kanazawa Bunko Museum)

  徒然草の作者である兼好法師の出自について、最近の研究によってこれまでの考え方が大きく修正された。 その見直しの背景にあったのは、金沢文庫に残されている書簡などの資料によるものだったという。 そうした資料や、兼好法師について関連する他の資料、徒然草についての絵画、絵巻などが展示されていた。 江戸時代に出版された様々なバージョンの徒然草や、徒然草をテーマにした奈良絵本などからは、徒然草が江戸時代の人々にとても好まれていたことがよくわかる。 真筆ではないかと言われる兼好法師の書や、その名前が登場する書簡などを間近にすると、これまでは現代に出版された徒然草の本を通じてしか知らなかった兼好法師という存在が、急に身近になったように感じられた。 Recent research has greatly revised the life of Kenko Yoshida, the author of Tsurezuregusa. It is said that the background of the review was due to the materials such as letters left in the Kanazawa Bunko. Such materials, other materials related to Kenko Yoshida, paintings about Tsurezuregusa, picture scrolls, etc. were exhibited. From the various versions of the swordsman published in the Edo period and the Nara picture books on the theme of the swordsman, it is clear that the swordsman was very much liked by the people of the Edo period. When I get close to the book of Kenko Yoshida, who is said to be an autograph, and the letter in which the name appears, the existen

光陰礼讃(泉屋博古館東京) In Praise of Lights and Shadows (Sen-Oku Hakukokan Museum Tokyo)

  リニューアルオープンを記念した展覧会の第2弾は、洋画コレクションを展示するという内容。 まずは、住友家が収集した絵画コレクションの展示。モネ、ルノワール、ピカソ、シャガールなどの有名な画家から、ヴィクトル・ヴィニョンやジャン=ポ-ル・ローランスなど、あまり知られていない画家の作品もあった。 続いて、住友家がパトロンとなった、あるいは収集した日本の洋画家の作品。浅井忠、和田英作、岸田劉生、中川一政などの作品があった。 特に印象に残ったのは、明らかに後期印象派の影響を受けた原色が美しい齋藤豊作の秋の色、そして素朴な味わいの牧野虎雄の鳥箱、という作品だった。 The second exhibition to commemorate the reopening is to exhibit a Western-style painting collection. First of all, an exhibition of painting collections collected by the Sumitomo family. From famous painters such as Monet, Renoir, Picasso and Chagall, to lesser-known painters such as Victor Vinyon and Jean-Poll Laurance. Next, the works of Japanese Western-style painters that the Sumitomo family became patronage or collected. There were works by Asai Chu, Wada Eisaku, Ryusei Kishida, Kazumasa Nakagawa and others. What impressed me especially was the autumn colors of Toyosaku Saito, whose primary colors were clearly influenced by the Post-Impressionists, and Torao Makino's bird box, which had a simple tas

芭蕉布(大倉集古館) Bashofu (Okura Museum of Art)

  第2次世界大戦後、一度は滅びかけた芭蕉布の伝統を復興して、人間国宝に認定された平良敏子と、その業績を紹介した展覧会。 会場には、芭蕉という植物から芭蕉布を作り上げるための道具、その行程などと合わせて、平良敏子やその工房が織り上げた美しい芭蕉布が展示されていた。 平良敏子は、民藝運動を主導した柳宗悦が芭蕉布の素晴らしさを書いた本を呼んで、その伝統を受け継ぐことを決意したのだという。 芭蕉布の模様は、幾何学的な模様ばかりだと思ったら、中には沖縄の海の波の形や、鳥の形などをデザインしたものもあった。 平良敏子の芭蕉布には沖縄の美しい風景そのものが織り込まれている。 An exhibition that introduces Toshiko Taira, who was recognized as a Living National Treasure by reviving the tradition of Bashofu, which was once destroyed after World War II, and her achievements. At the venue, a beautiful Basho cloth woven by Toshiko Taira and her workshop was exhibited, along with tools for making Basho cloth from a plant called Basho and her process. Toshiko Taira said that Soetsu Yanagi, who led the Mingei movement, called a book about the splendor of Bashofu and decided to carry on that tradition. I thought that the patterns of the basho cloth were all geometric patterns, but some of them designed the shape of the ocean waves in Okinawa and the shape of birds. The beautiful scenery

歌枕 あなたの知らない心の風景(サントリー美術館) Utamakura―Forgotten Poetic Vistas (Suntory Museum of Art)

  和歌によって、特定の場所とその情景が結びつられて、それをかつて歌枕と呼んでいた。 吉野の桜、龍田の楓などはその典型で、他にも宇治、和歌浦などがある。 そうした歌枕をテーマにしてこの展覧会では、その元になった和歌が美しい懐紙に書枯れた名筆や、狩野派の絵師たちが歌枕をテーマに描いた絵画、尾形乾山らの工芸品、など多彩な展示が行われていた。 歌川国芳の浮世絵にも、そうした歌枕が描かれている。江戸の庶民たちもその絵の意味を理解していたのだろう。 歌枕が成立した平安時代から江戸時代まで、この国の人々にとって歌枕はずっと共有されていた。 現代、その多くはすでに忘れられてしまった。歌枕は文化の断絶ということを象徴する存在だ。 美しい芸術品に溢れたこの豪華な展覧会は、同時に、消え去ってしまった伝統を紹介した悲しい物語の展覧会でもあった。 Waka was used to connect a specific place and its scene, which was once called Utamakura. Sakura in Yoshino and Kaede in Tatsuta are typical examples, and there are also Uji and Wakaura. In this exhibition with the theme of such Utamakura, there are various works such as masterpieces with beautiful waka poems, paintings drawn by Kano school painters on the theme of Utamakura, and crafts by Ogata Kenzan and others. There was an exhibition. Utagawa Kuniyoshi's Ukiyo-e also depicts such a Utamakura. The common people of Edo probably understood the meaning of the painting. From the Heian period to the Edo period, when Utamaku

李朝の工芸(倉敷民藝館) Ly Dynasty Crafts (Kurashiki Museum of Folk craft)

初めて訪れた倉敷民藝館。開催されていた2つの企画展のもう一つのテーマは、李朝の工芸だった。 民藝運動を始めた柳宗悦は、1914年に知人の浅川伯教から李朝の陶磁器を贈られてその美しさに驚き、その後民芸品に興味を持つようになったと言われている。 その意味では、李朝の工芸は、民藝活動の原点と言っていいかも知れない。 趣のある館内には、白磁や青磁などの陶磁器をはじめとして、色鮮やかに装飾された木工品、シンプルなデザインの箸や匙などの金工品、など多彩な李朝の工芸品が展示されていた。 中でも、前々からとても好きだった、素朴な味わいの民画が展示されていたので、とても嬉しい気分になった。 Kurashiki Museum of Folklore that I visited for the first time. Another theme of the two exhibitions that were held was the crafts of the Ly Dynasty. It is said that Soetsu Yanagi, who started the Mingei movement, was surprised at the beauty of the pottery of the Ly Dynasty by his acquaintance Noritaka Asakawa in 1914, and later became interested in folk crafts. In that sense, the Ly Dynasty crafts may be said to be the origin of Mingei activities. In the quaint hall, various Li Dynasty crafts such as ceramics such as white porcelain and celadon, colorfully decorated woodwork, metalwork such as chopsticks and spoons with a simple design are exhibited. Above all, I was very happy because the simple-tas

幾何学文様 くりかえしの美(倉敷民藝館) Geometric pattern, Repeated beauty (Kurashiki Museum of Folk craft)

  倉敷民藝館を訪れたのは初めてだった。 訪れたときは、幾何学文様と李朝の工芸をテーマにして2つの企画展が行われていた。 まずは、幾何学文様の方から。 器や着物などのいわゆる民芸品には、その表面に幾何学模様が表現されているものがよくあり、その模様が民芸品に独特の素朴な味わいを与えている。 日本の見慣れた民芸品も多かったが、イランやカメルーンなど、海外の民芸品も展示されていて、国境を越えた幾何学文様の豊かさを感じることができた。 It was my first time to visit Kurashiki Museum of Folklore. When I visited, there were two special exhibitions on the theme of geometric patterns and Ly Dynasty crafts. First of all, from the geometric pattern. Many so-called folk crafts such as vessels and kimonos have a geometric pattern on the surface, and the pattern gives the folk craft a unique and simple taste. There were many folk crafts that were familiar to Japan, but overseas folk crafts such as Iran and Cameroon were also exhibited, and I could feel the richness of geometric patterns that transcended national borders.

生誕100年 山下清展 百年目の大回想(神戸ファッション美術館) Yamashita Kiyoshi, The 100th of his birth (Kobe Fashion Museum)

  幼い頃に、山下清を主人公にしたテレビ・ドラマ・シリーズを見ていた記憶がある。 芦屋雁之助が山下清に扮して、全国を放浪している山下清と、それぞれの地方の人々との交流を描いていたように記憶している。 山下清という存在は、当時はあまりにポピュラー化していたので、アーティストとして正面から捉えることはできなかった。 後年、長岡の花火を描いた貼絵の作品がテレビで紹介されているのを見て、改めてその作品の凄さを実感した。 それとは別に、民藝運動にも助力していた精神科医の式場隆三郎が、山下清の支援を行っていたことを知って、よりその存在に興味が湧いていた。 この神戸ファッション美術館の展覧会では、そんな山下清のことをよく知ることができる、またとない絶好の機会となった。 会場には、八幡学園に入る前の絵から、学園に入った後に始めた貼絵、放浪の旅から帰った後の作品や、ヨーロッパ旅行で見た風景を描いた作品、絵付けを行った陶磁器など、山下清の多彩な芸術世界が展開されていた。 どうしても目にしたかった長岡の花火は、意外と小さな作品だったが、近くによって目を近づけると、その精巧な貼絵の技術に圧倒された。 生誕100年を迎えて、山下清というアーティストは、ようやく正当に評価される時代が訪れたと言えるのかもしれない。 I remember watching a TV drama series with Kiyoshi Yamashita as the main character when I was young. I remember that Ashiya Gannosuke, dressed as Kiyoshi Yamashita, portrayed the interaction between Kiyoshi Yamashita, who is wandering around the country, and the people of each region. The existence of Kiyoshi Yamashita was so popular at that time that I couldn't see it head-on as an artist. Later, when he saw a work of a pasted painting dep