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4月, 2022の投稿を表示しています

華風到来 チャイニーズアートセレクション③(大阪市立美術館) Chinese Art Selection 3 (Osaka City Museum of Fine Art)

  フロアを1階に移して、続いては山口謙四郎が収集したという中国の石像彫刻のコレクション。 展示室に入った途端、部屋中に置かれた石像の数々に圧倒されてしまう。 その多くは、北魏、北周、隋時代のもの。 中国に仏教が伝えられたのは北魏時代。当時の人々がどのように仏教という新しい宗教を受け入れていったのかが、そうした石像からうかがえる気がする。 A collection of Chinese stone sculptures that was moved to the first floor and then collected by Kenshiro Yamaguchi. As soon as I entered the exhibition room, I was overwhelmed by the stone statues placed in the room. Most of them are from the Northern Wei, Northern Zhou, and Sui dynasties. Buddhism was introduced to China during the Northern Wei era. I feel that such stone statues show how people at that time accepted the new religion of Buddhism.

華風到来 チャイニーズアートセレクション②(大阪市立美術館) Chinese Art Selection 2 (Osaka City Museum of Fine Art)

  続いてのコーナーでは、中国の書画に影響を受けてきた日本の絵師たちの作品が展示されていた。 この展覧会のビジュアルにも使われた、島成園の上海娘の他、土佐光起、山本梅逸、岡田米山人、田能村竹田、岡田半江、雲谷等璠、狩野探幽の探幽縮図、などの作品が展示されていた。 In the next corner, the works of Japanese painters who were influenced by Chinese calligraphy were exhibited. In addition to the Shanghai daughter of Shimaseien, which was also used in the visuals of this exhibition, Tosa Mitsuoki, Yamamoto Baiitsu, Okada Beisanjin, Tanomura Chikuden, Okada Hanko, Kano Tanyu, etc. The work of was exhibited.

華風到来 チャイニーズアートセレクション①(大阪市立美術館) Chinese Art Selection 1 (Osaka City Museum of Fine Art)

  今年の秋から3年間の長い改修期間に入る大阪市立美術館が、その前に自慢の中国美術コレクションを公開した。 その展示内容は、中国書画の阿部コレクションと中国石像彫刻の山口コレクションが中心だった。 まずは中国書画から見ていこう。 The Osaka City Museum of Fine Arts, which will enter a long renovation period of three years from this fall, has released its proud Chinese art collection before that. The contents of the exhibition were mainly the Abe collection of Chinese calligraphy and the Yamaguchi collection of Chinese stone sculptures. Let's start with Chinese calligraphy. 倪瓚の疎林図。 倪瓚は元の時代の末期の人物で、家が裕福だったため官僚などの仕事にはついていなかった。 この絵のような、池のほとりや島に木が生えている、といったシンプルな構図の作品が多く、後世に大きな影響を与えた。 A sparse forest map of Ni Zan. Ni Zan was a latecomer to the original era, and his family was wealthy, so he wasn't involved in bureaucratic jobs. Many of the works had a simple composition, such as this picture, with trees growing on the banks of the pond and on the island, which had a great influence on posterity. 沈周の幽居図。 沈周は明代中期の人物で、呉派を興した人物と言われている。弟子には文徴明がいる。 牛車に乗った人物が向かう先には、山林の中にひっそりと建っている文人にとっての理想的な幽居。幽(ひそかな)という

最澄と天台宗のすべて(京都国立博物館) Buddhist Art of the Tendai School (Kyoto National Museum)

  東京から始まった、最澄と天台宗について紹介する展覧会。 九州での開催を終えて、最後の開催地となる京都展が始まった。 この展覧会の展示品は、開催する地域の特徴を取り入れて、各会場でかなり異なっている。 この京都は天台宗の総本山である延暦寺がある。自然と、その延暦寺からの出品が多かった。 東京展に足を運んだのは、昨年の10月だった。そのおよそ6ヶ月後に、この京都展も訪れることができた。 京都展にだけ出品された展示の中で、記憶に残ったものを紹介していこう。 An exhibition that introduces Saicho and the Tendai sect, which started in Tokyo. After the event in Kyushu, the final venue, the Kyoto exhibition, has begun. The exhibits in this exhibition are quite different at each venue, incorporating the characteristics of the area in which they are held. This Kyoto has Enryakuji Temple, the head temple of the Tendai sect. Naturally, there were many exhibits from the Enryakuji Temple. I went to the Tokyo exhibition last October. About 6 months later, I was able to visit this Kyoto exhibition as well. Here are some of the exhibits that were exhibited only at the Kyoto exhibition that were memorable. 平安時代に書かれた叡山大師伝。最澄の生涯を描く本の中で、必ずと言って紹介される重要な文献で、それを目の前にして、大袈裟でなく少し身震いがした。 七条刺納袈裟は、最澄が天台山で教師からもらったという袈裟。最澄がこれを手にし、着たかもしれないこの袈裟を

サロン!雅と俗-京の大家と知られざる大坂画壇(京都国立近代美術館) Salon Culture and the Pictorial Arts of Kyoto and Osaka (National Museum of Modern Art, Kyoto)

  江戸時代の関西の絵師といえば、円山応挙、伊藤若冲、池大雅などの京都の絵師たちの名前が思い浮かぶ。しかし、大阪にも多くの絵師たちがいた。 岡倉天心が、そうした大阪の絵師たちのことを全く評価しなかったので、明治以降のアカデミックな世界では、彼らはずっと無視されてきた。 近年、そうしたいわゆる大坂画壇を再評価する動きが盛んになっている。この展覧会では海外での研究なども踏まえ、大坂画壇の作品を京都との関係を軸に、その存在を大々的に展示、紹介したものとなった。 Speaking of Kansai painters in the Edo period, the names of Kyoto painters such as Maruyama Okyo, Ito Jakuchu, and Ike no Taiga come to mind. However, there were many painters in Osaka as well. Since Tenshin Okakura did not appreciate these Osaka painters at all, they have been ignored in the academic world since the Meiji era. In recent years, there has been a lot of movement to re-evaluate such so-called Osaka painters. In this exhibition, based on overseas research, the works of Osaka Gakudan were exhibited and introduced on a large scale, centering on their relationship with Kyoto. 最初のパートでは、円山応挙、伊藤若冲、池大雅、与謝蕪村たちの京都画壇の絵師たちの絵が紹介される。 伊藤若冲の乗越舟は、若冲が相国寺の大典和尚と淀川下りをした時の記憶を版画にしたもの。京都と江戸が、淀川によって簡単に行き来できる場所だったことが暗示されている。 次のパートでは、京都と大阪の文化人たちのネットワークに焦点が充てらている。ここでの主役は、この

旅スル絵画(泉屋博古館) Traveling paintings (Sen-oku Hakukokan Museum)

  旅をテーマにして、江戸の文人絵画を展示した展覧会。 この美術館を訪れたのは、およそ2年ぶりだった。 いつもは京阪の神宮丸太町駅からタクシーを拾ってしまうが、今回は旅にまつわる展覧会ということで、駅からブラブラと熊野神社や岡崎神社を左手に見ながら、美術館まで歩いてみた。 An exhibition of Edo literary paintings with the theme of travel.  It was the first time in about two years that I visited this museum. I usually pick up a taxi from Jingu-Marutamachi Station in Keihan, but this time it was an exhibition related to traveling, so I walked from the station to the museum while looking at Kumano Shrine and Okazaki Shrine on my left. 展示されていた作品の多くは、この美術館のコレクションが多かったが、泉佐野市にある歴史館から何点かの作品が出品されていた。 日根対山の『熊野寒行』はそうした作品の一つだが、実際に対山が冬の時期に熊野詣でをした体験をもとに描いた絵だという。 寡聞にも日根対山のことを今回の展覧会で初めて知った。1813年に泉佐野に生まれた人物で、岡田半江に絵を学び、弟子には野口小蘋らがいるという。 この対山も参加したという、京都で行われたある書画会についての絵や書簡の展示もあった。 Most of the works on display were from the museum's collection, but some of them were exhibited at the History Museum in Izumisano City. Hine Taizan's "Kumano Kanko" is one such work, but it is said that it is a painting based on the experience th

ペンティ・サラマッティ展(何必館・京都現代美術館) Pentti Sammallahti (Kahitsukan・Kyoto Museum of Contemporary Art)

  寡聞にもペンティ・サラマッティのことはこれまで知らなかった。 1950年生まれのフィンランドの写真家だという。 展示されていた写真は、フィンランドを初め、世界各地の風景写真が多かった。 スペイン、ポルトガル、ハンガリー、ロシア、エジプト、インドなどなど。日本の福島や京都を写した写真もあった。 それらの写真を見ていくうちに、不思議な感覚に囚われていることに気がついた。 それらの場所を一度も訪れていたことはないのに、何だかとても懐かしい気持ちになってきた。 海の写真からは、かつて訪れた海の風景が、山の写真からは、かつて訪れた山の風景のことを思い出していた。 サラマッティは、個別の風景の写真を撮りながら、同時にこの地球上にある風景の原型のようなものを撮影する特別な感覚を持っているようだ。 そうした体験は、これまでの写真家の作品では味わったことのない、衝撃的で特別な体験だった。 ペンティ・サラマッティという名前は、決して忘れることのできない名前となった。 I didn't know about Pentti Sammallahti until now. He is said to be a Finnish photographer born in 1950. Many of the photographs on display were landscape photographs from all over the world, including Finland. The location is Spain, Portugal, Hungary, Russia, Egypt, India and so on. He also had photographs of Fukushima and Kyoto in Japan. As I looked at those pictures, I realized that I was trapped in a mysterious sensation. I have never visited those places, but I feels very nostalgic for some reason. From the pictures of the sea, I remembered the scenery o

利休茶の湯の確立(野村美術館) Origins of Rikyū’s Cha-no-yu (Nomura Art Museum)

  京都の東山の麓にある野村美術館を訪れたのは、これが初めてのことだった。 千利休の生誕500年を記念して、利休にまつわる様々な茶器など展示した特別展が行われていた。 それほど広くない展示室の中に、伝梁楷、伝牧谿などの水墨画、江戸時代の写本の君台観左右帳記、武野紹鷗や千利休の消息、千利休が所有していた茶器など、多くの名品が展示されていた。 そうした茶器の中には、室町時代の三条西実隆が所有していたものもあり、代々、所有者を代えて伝えられてきたことも説明されていた。 地下の展示スペースでは、野村家と所縁のある藪内家と千利休の関係をテーマにした展示も行われて、こちらも興味深かった。 This was the first time I visited the Nomura Museum of Art at the foot of Higashiyama in Kyoto. To commemorate the 500th anniversary of Sen no Rikyu's birth, a special exhibition was held that exhibited various tea utensils related to Rikyu. In the not-so-large exhibition room, there are ink paintings such as Liang Kai and Muqi, the manuscripts of the Edo period, Kundaikan-Socyoki, the whereabouts of Shoji Takeno and Sen no Rikyu, and the tea set owned by Sen no Rikyu. Many masterpieces were on display. It was also explained that some of these tea ware were owned by Sanetaka Sanjo Nishi during the Muromachi period, and that they were handed down from generation to generation. In the underground

モディリアーニ(大阪中之島美術館) Modigliani (Nakanoshima Museum Art, Osaka)

  今年オープンした大阪中之島美術館が、開館記念の収蔵品展に続いて初めての特別展として開催したのは、モディリアーニ展だった。 国内では、2008年以来の大規模な回顧展になるという。 The Modigliani exhibition was held by the Osaka Nakanoshima Museum, which opened this year, as the first special exhibition following the exhibition commemorating the opening of the museum. In Japan, it will be the largest retrospective exhibition since 2008. モディリアーニと言えば、アーモンド型で単色の目が特徴的な人物の肖像画というイメージが強い。 この展覧会には多くの肖像画が展示されていたが、中には目の玉もしっかり描かれた作品も何点かあった。モディリアーニは描くモデルや作品のコンセプトで描き分けていたのだろう。 松本竣介は、モディリアーニの絵が好きだったようだ。シンプルな線を使って、人物の表情を巧みに描くその技術に魅せられていたという。松本竣介の作品を思い浮かべてもモディリアーニの絵とはすぐには結びつかず、意外だった。 Speaking of Modigliani, there is a strong image of a portrait of an almond-shaped person with distinctive monochromatic eyes. Many portraits were exhibited in this exhibition, but some of them were well-painted with eyeballs. Modigliani would have been drawn according to the concept of his model and work. Shunsuke Matsumoto seems to have liked Modigliani's paintings. He was fascinated by the technique of s

来迎(中之島香雪美術館) Images of Amitabha Buddha's Welcoming Approach (Nakanoshima Kosetsu Museum of Art)

  仏教画の中には、来迎図と呼ばれるジャンルの絵がある。この美術館の来迎図コレクションを中心に、他にも京都の三千院や奈良国立博物館からも様々な種類の来迎図が出品されていた。 来迎図誕生の背景にあるのは、源信が書いた『往生要集』。その源信自信が来迎図を描いたと伝えられていて、その後、同じ構図の来迎図が数多く描かれた。 阿弥陀如来を中心にして周囲の菩薩たちが描かれた円陣来迎という構図の来迎図も現れて、これにも様々なバージョンが存在している。 阿弥陀如来に従う25の菩薩だけを描いた二十五菩薩来迎図というものもあり、他の博物館や美術館でも度々目にしたことがあった。 平安時代の末期は、末法の世と考えられて、多くの平安貴族たちが死後に極楽に行くことを願って、こうした来迎図が盛んに描かれるようになったのだろう。 死への恐怖が、美しいものを作り出したということに、何とも言えない人間の業のようなものが感じられた。 Among Buddhist paintings, there is a genre of painting called Raigozu. In addition to the Raigo map collection of this museum, various types of Raigo map were exhibited from Sanzen-in Temple in Kyoto and the Nara National Museum. Behind the birth of the Raigozu is the "Ojoyoshu" written by Genshin. It is said that Genshin's self-confidence drew the Raigo map, and then many Raigo maps with the same composition were drawn. There are also various versions of Raigo, which has a composition called Enjin Raigo, in which the surrounding Bodhisattvas are drawn around Amida Nyora. The

Chim↑Pom展:ハッピースプリング(森美術館) Chim↑Pom: Happy Spring (Mori Art Museum)

  作品を発表するたびに、何かと世間をざわつかせてきた、話題のアーティスト・コレクティブ、Chim↑Pomの展覧会。 これまでの主要な作品が、ユニークな構成の会場にたっぷりと展示されていた。 入り口は、まるで建設工事現場のような雰囲気で、中に入るといつもは広い会場が2階に分けられていたりと、期待を裏切らないユニークな内容の展覧会だった。 所々に、まだ展示のための作業が継続中のように道具が置かれていて、この展覧会が開催されている最中も、日々その姿は変化しているようだ。 『洛中洛外図屏風』や『一遍上人絵伝』などの絵巻物を見ると、当時の人々がどのように生活してかがよくわかる。 将来、Chim↑Pomの作品を見る人たちは、今日の人々がどのような社会的な問題を抱えていたのかを、これらの作品から窺い知ることができるのだろう。 An exhibition of the topical artist collective Chim ↑ Pom, which has made the world rush every time he announces his work. The major works so far were fully exhibited in the venue with a unique composition. The entrance was like a construction site, and when you entered the exhibition, the large venue was usually divided into two floors, which was a unique exhibition that did not disappoint. In some places, tools are placed as if the work for the exhibition is still ongoing, and it seems that the appearance is changing every day even while this exhibition is being held. If you look at picture scrolls such as "Rakuchu Rakugai