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11月, 2022の投稿を表示しています

ART in BOX (アーティゾン美術館) ART in BOX (Artison Museum)

パリ・オペラ座展の開催時期に、ART in BOXという特集展示が行われていた。 それまでの美術の概念を次々に壊していったマルセル・デュシャンは、自分の作品を箱に納めて、持ち運べる美術館というコンセプトを発表して、世間をざわつかせた。 そして、そこから様々なボックス・アートが生まれていった。 ジョセフ・コーネルは、ボックス・アートの一つの形を作り上げたアーティストと言っていいだろう。 シュルレアリスムを日本に紹介した瀧口修造は、中西夏之、野中ユリらの作品を集めて自らも独自のボックス・アートを制作した。 実験工房の山口勝弘のヴィトリーヌは、ガラスを組み合わせて不思議な視覚のマジックを感じさせる作品だが、同時にボックス・アートという側面も持っている。 そして、フルクサスのジョージ・マチューナス。デザイナーであるマチューナスにとっては、様々な小さなアート作品をボックスに納めるのは、お手のものといったところだろうか。 それほど作品数のある展示ではなかったが、ボックス・アートの様々な変容を楽しむことができた。 A special exhibition called ART in BOX was held at the time of the Paris Opera exhibition. Marcel Duchamp, who had broken the conventional concept of art one after another, created a stir by announcing the concept of a museum where his works could be put in a box and carried around. From there, various box arts were born. Joseph Cornell is an artist who created a form of box art. Shuzo Takiguchi, who introduced surrealism to Japan, collected the works of Natsuyuki Nakanishi, Yuri Nonaka, and others to create his own original box art. Kat

パリ・オペラ座(アーティゾン美術館) The Paris Opera House and the Arts (Artizon Museum)

パリのオペラ座をテーマにしたユニークな企画の展覧会。オペラ座にまつわる色々な展示品があって、その多彩な内容に酔いしれてしまった。 オペラ座を設計したシャルル・ガルニエによる立面図。オペラ座の建設は、ナポレオン3世によるパリ改造計画の一環だった。 オペラ座で上演された様々な演目の舞台美術。中には、コクトーやレジェ、アンドレ・マッソンが描いた舞台美術もあった。 プーシェ、マティス、キリコといった画家たち、さらにはラクロワ、ラガーフェルドらデザイナーたちによる美しい衣装デザインの数々。 リュリ、ラモー、グルック、モーツァルト、ロッシーニ、ワーグナー、ヴェルディらの貴重な自筆の楽譜。 シャガールが描いた、オペラ座の天井画のための最終習作といわれる絵画。シャガールの作品らしく、丸い絵の中で天使や恋人たちが宙を舞っている。 そして、オペラやダンスにまつわる、マネ、ボナールなどの絵画。 またルノワールはワーグナーの大ファンであったことを初めて知った。ルノワールが描いたワーグナーの肖像画は、他の画家たちにより肖像画と違い、笑顔の柔らかい表情で描かれていたのがとても印象的だった。 A unique exhibition with the theme of the Paris Opera House. There were various exhibits related to the Opera House, and I was intoxicated by the various contents. Elevation by Charles Garnier, who designed the Opera House. The construction of the Opera House was part of Napoleon III's plan to remodel Paris. Stage art for various performances performed at the Opera House. There were also scenography by Cocteau, Léger and André Masson. Many beautiful costume designs by painters such as Pouchet, Matisse,

運慶 鎌倉幕府と三浦一族(金沢文庫) Unkei : Kamakura shogunate and the Miura clan (Kanzawa Bunko Museum)

金沢文庫での、運慶に関する紹介する展覧会。 金沢文庫では、国宝の金沢文庫文書にまつわる展覧会が多く、通常の展覧会では文章や資料の展示が多い、 しかし今回は、NHKで鎌倉時代初期が舞台の大河ドラマが行われていることに関連して、運慶と鎌倉幕府や三浦一族との関係がテーマ。 展示スペースには、運慶あるいは運慶派の十二神将や毘沙門天像など仏像の展示が多く、いつもとは少し違った雰囲気だった。 仏像では、三浦一族との関係が深いという、横須賀の曹源寺の十二神将像が見応えがあった。運慶派かそれに近い仏師により制作されたと考えられているという。 十二神将それぞれの表情や仕草が、これぞ鎌倉時代の仏像という風に個性的に仕上げられていて、見応えがあった。 文書の展示も吾妻鏡を中心にあったが、中でも国宝の転法輪鈔と言泉集は、見応えがあった。 いずれも、法会の際に読まれた表白という言葉を集めたもの。 それらの表白がどんな調子で唱えられていたのかを想像すると、歴史のロマンを感じた。 An exhibition introducing Unkei at Kanazawa Bunko Museum. At Kanazawa Bunko, there are many exhibitions related to the Kanazawa Bunko documents, which are national treasures. However, this time, the theme is Unkei's relationship with the Kamakura Shogunate and the Miura clan, in connection with NHK's Taiga drama set in the early Kamakura period. In the exhibition space, there were many Buddhist statues such as Unkei or the Unkei School of the Twelve Divine Generals and Bishamonten statues, giving it a slightly different atmosphere than usual. Among the B

川内倫子:M/E 球体の上 無限の連なり(東京オペラシティ アートギャラリー) Rinko Kawauchi M/E (Tokyo Opera City Art Gallery)

  川内倫子の写真は、以前に東京都写真美術館で行われた何かの展覧会で、何点かだけ見たことがあったように記憶している。 まとまった数の作品を見るのはこれが初めてだった。 展示の中心は、M/Eという新作のシリーズで、アイスランドで撮影した風景写真や、新型コロナの感染が広がっている期間に自宅の周辺を撮影した写真で構成されている。 他に映像作品もあったが、単に写真を並べて展示するだけでなく、展示スペースのレイアウトを細かく区切ったり、アイスランドをイメージした白い布のトンネルの中に作品を展示するなど、会場設定が工夫されていて、その空間構成も楽しめた。 川内倫子の写真は、決して何か珍しいものや、これ見よがしの美しい風景などを撮っているのではないが、わざと逆光を入れたり、被写体の構図を工夫するなど、細かい部分へのこだわりが感じられた。 常設展では、若林奮、中西夏之、林孝彦の版画のシリーズ作品がとても印象的だった。 I remember seeing Rinko Kawauchi's photographs at some exhibition held at the Tokyo Metropolitan Museum of Photography before. This was the first time I saw a large number of works. The centerpiece of her exhibition is her new series M/E, which consists of landscape photographs taken in Iceland and around her home during the COVID-19 pandemic. there is In addition to her video works, she did not simply display photographs side by side, but also set up the venue by dividing the layout of the exhibition space into small pieces and exhibiting the works in a tunnel of white cloth in the

アーツ・アンド・クラフツとデザイン(府中市美術館) Arts & Crafts and Design (Fuchu Art Museum)

  アーツ・アンド・クラフツと言えば、ウィリアム・モリスの名前がまず思い浮かぶ。 この展覧会では、勿論、モリスの美しいデザインは紹介されていたが、合わせてチャールズ・フランシス・アンズリー・ヴォイジー、ウォルター・クレイン、チャールズ・ロバート・アシュビー、ウイリアム・アーサー・スミス・ベンソン、チャーリー・フランシス・アンズリー・ヴォイジーらのデザイン作品も展示されていた。 中でも、花の形をそのまま照明にしたような、ウイリアム・アーサー・スミス・ベンソンのスタンドグラスは素晴らしかった。 モリスは、デザインだけでなく、社会主義運動にも力を注いでいた。 ウォルター・クレインの作品”社会主義運動のための原画集”から何点かの絵が展示されていたが、その美しく豪華な世界観は、社会主義運動の趣旨からは少しズレているように感じた。 最後のコーナーでは、ティファニーやフランク・ロイド・ライトを紹介しながら、アーツ・アンド・クラフツのアメリカへの影響が紹介されていた。 他の地域への影響という観点では、日本への影響も合わせて紹介してほしかった。 When we think of Arts and Crafts, the first name that comes to mind is William Morris. In this exhibition, of course, Morris' beautiful designs were introduced, but also Charles Francis Annesley Voysey, Walter Crane, Charles Robert Ashby, William Arthur Smith Benson, Charlie Francis Design works by Ansley Voysey and others were also on display. Above all, William Arthur Smith Benson's standing glass, which looks like a light source in the shape of a flower, is wonderful. Morris was active not only in design, but als

SHUZO AZUCHI GULLIVER (BankART Station & Kaiko)

  寡聞にも、SHUZO AZUCHI GULLIVERのことは全く知らなかった。 何の予見もなく会場を訪れて、作品を見始めたが、文字を使った作品が多く、フルクサスみたいな雰囲気を感じていたが、実はSHUZO AZUCHI GULLIVERはフルクサス・メンバーと交流していた時期があったという。 死後、体を80に分解して保管することを契約するというプロジェクト”BODY”は、その発想の過激さとユニークさで、SHUZO AZUCHI GULLIVERを代表する作品だ。 ヨーゼフ・ボイスもそのプロジェクトに興味を持っていたという。 BankART KAIKOとSTATIONの2つの会場で展覧会は行われ、巨大なオブジェの作品から、イラストのようなカンバスの小品まで、バラエティに富んだ作品を楽しむことができた。  現在はニューヨークで活躍し、日本ではあまり紹介される機会は少ないが、1960年台から活動をしている現代アートの巨匠の作品を、まとめて目にすることができて、本当に行ってよかったと感じた展覧会だった。 I didn't know about SHUZO AZUCHI GULLIVER at all. Unexpectedly, I visited the venue and started looking at the works, but many of his works used letters, and I felt a Fluxus-like atmosphere, but actually SHUZO AZUCHI GULLIVER interacted with the Fluxus members. It is said that there was a time when After the death, the project "BODY", in which he contracts to disassemble his body into 80 pieces and store it, is a work that represents SHUZO AZUCHI GULLIVER with its extreme and unique idea. Josef Beuys was also interested in

永福寺と鎌倉御家人(神奈川県立歴史博物館) Eifukuji Temple and Kamakura Gokenin (Kanagawa Prefectural Museum of Cultural History)

  かつて、鎌倉の中心から見て東北のあたりに、永福寺という巨大な寺院があった。 源頼朝が、平泉の藤原氏を滅した後で、その戦いで亡くなった人々の魂を沈めるという意によって建てられた寺院と言われている。 その寺院は、源頼朝が平泉の地で目にした中尊寺な毛越寺などの巨大な寺院に驚き、それをモデルにしたようだ。 会場には発掘作業によって発見された経塚、瓦、柱などが展示されていた。現地の写真もあったが、今は跡形もなく、かつてその場所に大寺院があったようには到底見えない。 成立したばかりの鎌倉幕府は、それまでの日本の中心だった京の都をモデルにしていたことは容易に想像ができる。しかし北の王国、藤原氏が築いた平泉にも文化的に影響を受けていたということは、新鮮な驚きだった。 鎌倉幕府は京都から有名な音楽師を招いて、舞楽などを永福寺などの寺院で行った。仏教の思想を民衆にわかりやすく伝えるためもあったとのこと。 そうした際に用いられたと考えられている舞額面も展示されていた。それらは、正倉院に収められているのとそっくりで、伝統がそのまま引き継がれていたことがわかる。 永福寺の研究が今後進むにつれて、これまでとは違った鎌倉時代の姿が新たにわかってくるのかもしれない。 Once upon a time, there was a huge temple called Eifuku-ji in the northeastern part of Kamakura. It is said that Minamoto no Yoritomo built this temple after defeating the Fujiwara clan in Hiraizumi to bury the souls of those who died in the battle. The temple seems to have been modeled after Minamoto no Yoritomo, who was surprised by the huge temples such as Chusonji and Motsuji that he saw in Hiraizumi. At the venue, sutra mounds, roof tiles, pillars, etc. discovere

将軍家の襖絵(根津美術館) Fusuma Paintings in the Shoguns’ Residence (Nezu Museum)

  足利義満や足利義政などの歴代の足利将軍は、中国から宋画などの名品を中国から取り寄せて、それを手本にして芸阿弥や周文らの同朋衆に襖絵を描かさせて、自分の邸宅の会所と呼ばれる部屋に飾らせた。 それらの邸宅は今ではほどんどが無くなってしまい、襖絵の多くも同時に失われたり、あるいは散逸した。 現在まで残ったその時代の襖絵を一堂に集めて、かつてあった場所を推測して展示するという、何とも豪華で野心的な展覧会が、根津美術館で開催された。 それらの屏風絵には、春夏山水図、秋冬山水図、四季耕作図、養蚕機織図、韃靼人狩猟図などの伝統的なテーマが、周文、芸愛、式部輝忠などの絵師たちによって描かれている。 そうした室町時代の襖絵は、江戸時代の琳派や狩野派による色鮮やかな絵と違って、色が少なく、モノクロの部分が多い。 2つの時代の雰囲気や、芸術感の違いが如実に感じられて、興味深かった。 Successive Ashikaga shoguns, such as Ashikaga Yoshimitsu and Ashikaga Yoshimasa, ordered masterpieces such as Song paintings from China, and used them as models for their peers, such as Geami and Shubun, to paint fusuma paintings for themselves. It was displayed in a room called Kaisho in the mansion. Most of those mansions are now gone, and many of the fusuma paintings have also been lost or dispersed. An extremely extravagant and ambitious exhibition was held at the Nezu Museum, gathering fusuma paintings from that era that have survived to the present day, and exhibiting speculations about where they u

澁澤龍彦 高丘親王航海記(鎌倉文学館) Tatsuhikio Shibusawa : Voyage of Takaoka Imperial Prince (Kamakura Museum of Literature)

  澁澤龍彦が書いた唯一の長編小説、高丘親王航海記をテーマにした展覧会。 澁澤は鎌倉で暮らしていたが、その所縁の鎌倉文学館で、没後35年を記念して開催された。 高丘親王は実在の人物。嵯峨天皇の第3皇子で、空海の十大弟子の一人にも数えられたが、老年になってから天竺行きを志して渡海。その志を遂げることなく、旅の途中で亡くなったと言われている。 澁澤といえば、ダークで幻想的な、あるいはエロティックなテーマのエッセイや短編小説でよく知られている。 その総決算とも言えるこの長編小説は、昭和60年から連載が開始されて、昭和62年に完結した。 しかし執筆中の澁澤は癌に犯されていて、脱稿も入院中に迎え、その同じ年に亡くなった。 鎌倉文学館の展示会場には、高丘親王航海記の直筆の原稿や、澁澤が参考にした書籍や資料などが展示されていた。 これまでに澁澤の本はエッセイについては何冊か読んだことがあったが、その小説は読んだことがなかった。 この展覧会に合わせて、この本を初めて読んでみたが、それまでに読んだことのないような、不思議な雰囲気に満ちた小説で、展示されていた原稿や資料を見ることでよりその内容に深く入り込んでしまい、この先も忘れることのできそうにない小説となった。 An exhibition on the theme of Tatsuhiko Shibusawa's only full-length novel, The Voyage of Imperial Prince Takaoka. Shibusawa lived in Kamakura, and the event was held at the Kamakura Museum of Literature, which was associated with him, to commemorate the 35th anniversary of his death. Prince Takaoka is a real person. He was the third son of Emperor Saga and was counted as one of Kukai's ten greatest disciples. He is said to have died on his journey without

地図と印刷(印刷博物館) Map and Printing (Printing Museum, Tokyo)

  江戸時代を中心に、出版・印刷された様々な地図が一堂に展示されて、地図好きにはたまらない内容の展覧会。 江戸時代の地図といえば、伊能忠敬の精巧な地図が出来るまでは現代から見れば稚拙に見える地図しかなかった、と思っていたら、水戸藩の長久保赤水という人物が伊能図ほどではないがかなり精巧な地図を制作していたことに驚かされた。 勿論、伊能忠敬の地図も展示されていた。その細かさや精巧さには改めて驚かされた。それらを全て実際に歩いて計測したのだから、伊能の功績はいかに称賛しても、しすぎということは決してないだろう。 基本的な疑問だが、江戸時代の人々はどんな風にそうした地図を見ていたのだろう。 遠国に旅する人にとっては、必須の道具であったろうが、あまり旅をすることのない人々は、そうした地図を見てその地域に想いを馳せたりしていたのだろうか。 林子平が『海国兵談』を出版して外国勢力の進出を警告した18世紀後半に、すでにその後の明治維新への流れが始まっていた。 時の老中、松平定信は同じ危機感を抱きながらも、林子平を罰したが、林の意見を取り入れてもっと効果的な対策を実施していたなら、その後の歴史は変わっただろうか。 A variety of published and printed maps, mainly from the Edo period, are displayed in one place, making this an irresistible exhibition for map lovers. When it comes to maps from the Edo period, I thought that until Tadataka Ino's elaborate map was made, there were only maps that looked childish from a modern point of view. I was surprised by the fact that Sekisui Nagakubo from Mito-han was producing such a map. Of course, Tadataka Ino's map was also on display. I was once again am

つながる琳派スピリット 神坂雪佳(パナソニック汐留美術館) Kamisaka Sekka (Panasonic Shiodome Museum of Art)

  最後の琳派、と言われることもある、神坂雪佳の展覧会。 琳派の豊富なコレクションで知られる細見美術館の作品が多く、展覧会の監修も細見美術館が担当しているとのこと。 最初のコーナーでは、本阿弥光悦と俵屋宗達の和歌巻の断簡、尾形光琳の陶器、渡辺始興や中村芳中の屏風絵、酒井抱一や中村其一の絵などが展示され、琳派のおさらいを行うようなイメージ。 パナソニック汐留美術館は、デザインや工芸などをテーマにした美術館。この展覧会では、神坂雪佳の絵画や図案集の他にも、神坂雪佳が図案を担当した工芸品の数々、蒔絵硯箱、赤楽茶碗、向付皿などが展示されていた。 それでも、この展覧会の一番の見どころは、日本の四季の情景、伝統的な物語のテーマ、色鮮やかな草花、愛らしい動物などの、神坂雪佳の図案集の数々だろう。 最後の広いスペースでは、神坂雪佳の多彩な作品、杜若、牡丹、紅葉、菊慈童、白凰などの絵に取り囲まれて、まるで神坂雪佳ワールドに迷い込んだようだった。 神坂雪佳は初めは京都四条派の絵師に絵を学んだので、そうした絵の中には琳派というよりは、明治・大正期によく見られた当時の日本画らしい、という印象の絵もあった。 琳派は狩野派や土佐派などとは違い、血のつながりのない人が、俵屋宗達や尾形光琳などを私淑した絵師が江戸時代を通じてそれを引き継いできた。 その意味では、神坂雪佳は琳派の正当な後継者、と言えるのかもしれない。 An exhibition of Sekka Kamisaka, sometimes called the last Rimpa school. Many of the works are from the Hosomi museum, which is known for its rich collection of Rinpa paintings, and the Hosomi museum is also in charge of supervising the exhibition. In the first corner, fragments of waka scrolls by Koetsu Honami and Sotatsu Tawaraya, pottery by Korin Ogata, folding screen paintings by Shiko Watan

大蒔絵展(三井記念美術館) Magnificent Maki-e (Mitsui Memorial Museum)

  日本の美しい蒔絵の工芸品が一堂に揃った大規模な展覧会。 熱海のMOA美術館、名古屋の徳川記念美術館に続いて、ようやく東京の三井記念美術館にやってきた。 平安時代から、鎌倉時代、室町時代、江戸時代、明治以降、そして現代まで、時代ごとに展示されていて、その歴史を辿るオーソドックスな構成だった。 この展覧会に時期を合わせてだろう、根津美術館や永青文庫でも、蒔絵や漆器をテーマにした展覧会が行われ、2022年の東京は蒔絵で満開の秋を迎えたと言ってもいいだろう。 表面のデザインの美しさという点では、平安時代の澤千鳥螺鈿蒔絵小唐櫃が実に素晴らしかった。 沢の間を飛び回る千鳥が、唐櫃の全面に描かれていて、それが全体のアクセントになっている。いつまで見ていても見飽きない。 江戸時代は優れたデザイナーの時代だった。本阿弥光悦、酒井抱一らの琳派のデザインは、それまでの伝統を継承しつつも、全く新しい新鮮な感覚で蒔絵を表現した。 現代の作家では、やはり松田権六の赤とんぼ蒔絵箱が圧巻だった。秋草の葉の細かさが、驚異的なテクニックで黒い漆の上で風に吹かれていた。 A large-scale exhibition of beautiful Japanese maki-e crafts. After visiting the MOA Museum of Art in Atami and the Tokugawa Memorial Museum of Art in Nagoya, the exhibition finally arrived at the Mitsui Memorial Museum in Tokyo. From the Heian period, the Kamakura period, the Muromachi period, the Edo period, after the Meiji period, to the present day, it was exhibited in each period, and it was an orthodox composition that traced the history. At the same time as this exhibition, the Nezu Museum and Eisei Bunko also h

鈴木大拙展(ワタリウム美術館) Daisetsu Suzuki : Life = Zen = Art (Watari Museum of Contemporary Art)

  ワタリウム美術館と言えば、現代アートの展覧会が多いが、今回のテーマは鈴木大拙。 通常は、2階から順に上に上がっていく構成が多いが、今回は、4階から下に下がっていくという、いつもとは少し違う構成の展覧会だった。 4階は、展示室に入るのに靴を脱ぐことが要求される。そこには畳が敷き詰められていて、座禅を連想させる。 中には、鈴木大拙の書や、外国語に翻訳された、鈴木大拙の書物などが展示されていた。 3階は、鈴木大拙にゆかりの、柳宗悦や岡倉天心、同郷の哲学者である西田幾多郎などの書などを展示。 そして最後の2階の展示室には、ジョン・ケージ、ナムジュン・パイク、ヨーゼフ・ボイス、サリンジャーなどの禅や鈴木大拙を連想させる作品や、南方熊楠の土宜法龍宛の書簡などが展示されていた。 鈴木大拙という思想家が、仏教界のみならず、哲学や文学、絵画、音楽など、様々な分野に与えた影響の大きさが、そうした展示品や作品で実感することができた。 Speaking of the Watari Museum, there are many exhibitions of contemporary art, but this time the theme is Daisetsu Suzuki. Normally, there are many exhibitions that go up from the 2nd floor, but this time the exhibition had a slightly different structure, starting from the 4th floor and going down. On the 4th floor, you are required to remove your shoes to enter the galleries. Tatami mats are laid out there, reminiscent of Zen meditation. Inside, D.T. Suzuki's writings and other foreign language translations of D.T. Suzuki's books were on display. On the 3rd floor, there